直前レポート『修羅場の車窓から』#20


3月20日(金) 第20回「Overnight Sensation」

※ 執筆・アップロードをためてしまい、何日のレポートだか分からなくなってきたので、頭に日付を入れました。既にお察しの方もいると思いますが第n回が3月n日のレポートということになっております。

最後の週末を前に、春休み(懐かしい響きだ)の学生スタッフや、休暇を取った社会人スタッフが、昼間から事務所に詰めていました。ウェブサイトの更新もハイペースで続き、中夜祭の楽しみ方等の新しいコンテンツが追加されています。今回の中夜祭は豪華アーティストによるライブであると同時に、コミケット40周年を祝い、海外からの仲間を歓迎する「祭」ですから、乾杯があったり、コスプレが可能だったりします。ご時世ですので、お酒の提供に当たっては、明らかに大人に見える方でも身分証の提示をお願いしますので、忘れずに持ってきて下さい。

さて、今回は舞台裏のお話ということで、設営・撤収についてお話しします。準備会で設営・撤収を担当するのは「設営部」という部署で、これは当日の各担当のスタッフが集まり構成されています。数十名程度の設営部メンバーだけでは設営はできませんから、参加者有志が会期前日の設営日に集まり、当日の会場を組み上げていきます(詳細はカタログでの告知や、設営部の公式Twitterアカウントをご覧下さい)。今回のスペシャルでは、設営日(27日)の12:00に「中央モール2階の展示ホール5入口前」が集合場所となっておりますので、興味ある方はぜひともご参加下さい。

なお、今年1月に放送されたNHKのコミケット特集で、この設営過程を早回しで流していましたが、机・イスが恐ろしい早さで並べられていく様子は壮観です。準備会の様子を覗いてみたいという方は、この設営作業に参加するのが早道かもしれません。私も一般参加・サークル参加の際に設営を2年くらい経験してから、スタッフになりました。

一方の撤収については、最終日の閉会後に行われます。こちらは各ホールに机・イスの集積所を作り、そこに机・イスを積み上げた上で、トラックに積み込んでいきます。サークルさんが自分のスペースの机・イスを集積所に持って行って頂くだけでも大変助かりますので、最終日に参加されるサークルさんはご協力をよろしくお願いします。

※ 今回のスペシャルでは、通常開催時に最終日18時ごろから行われる共同代表参加の「反省会」は予定しておりませんが、撤収終了時に簡単なご挨拶を行う予定です。

今回のスペシャルは通常の設営・撤収に加え、1日目と2日目の間に会場の組み直しがあります。こちらは作業が深夜に及ぶこともあり、準備会スタッフ以外の有志は募集しませんが、大変な作業になりそうです。多数のサークルさんにお申し込み頂いたため、1日目と2日目で隔壁の位置や、机のレイアウトが変わります。このレイアウトに従い机・イスを並べ直すのですが、課題となるのは中夜祭を行う展示ホール1の設営作業です。客席部分は21:00頃に中夜祭参加者の退場が終わり次第、設営を始めることができますが、ステージ部分の設営は一体何時開始になるのやら……。いまのところタイムテーブルには、通常開催のコミケットではあまり見ない時間帯の予定が踊っています。

個人的には設営と撤収を通じて、コミケットという「場」に魔法がかかる・解ける瞬間が見られると思っています。ビッグサイトでも幕張メッセでも、借りたばかりのホールというのはコンクリート打ちっ放し、灰色の壁と床に囲まれたただの無機質な箱です。そこに設営有志が入り、机とイスが並べられ、トラックが走り回り、スペースに梱包が積まれていくと、そこはいつの間にか参加者と表現を受けいれる「場」になっています。設営日の施錠が終わり、誰もいなくなった時間帯の会場は、借りた直後と同じ会場のはずなのに、不思議な「温度」を感じます……うまく説明できないのですが。

逆に数時間まで人で埋め尽くされていた会場が、数時間の撤収を経てただの箱に戻り、清掃車両が走り回るのを見ると、夢から覚めたように我に返ります。我々は、場に魔法をかけているつもりで、実は場の魔法にかかっている、形式的な言い方をすれば共同幻想を見ているのかもしれません。

コミケットという共同幻想は世界に広がるのか――今回のスペシャルのテーマを問いの形にすれば、こんな言葉になるのでしょう。

(事務局長)