直前レポート『修羅場の車窓から』#11


第11回「復興」

当日に向けた運用の詳細化が進められています。タイムテーブルの最終化や、エスカレーターの上り・下り運用、ゲート・シャッターの開閉運用といったものが、一つ一つ詰められていきます。こういう新しい会場、異なる時間枠でイベントを開催するときには「紙芝居」(一定時間間隔で、計画上起こることを、地図上にプロットしたスライドショー)を作って、全体の整合性が取れているか確認するのが王道ですので、今週末あたりは集まってきた情報を取りまとめつつ、紙芝居とにらめっこする予定です。

一点追加のお知らせです。今回のスペシャルで発行予定とサークルガイドブックやカタログでお知らせしていた「コミックマーケット40周年史」は、発行を今夏のコミケット88に延期することになりました。今回のスペシャルを通じて、海外サークルや海外・国内イベント、官公庁や地方自治体と連携した成果を今後も活用するため、40周年史に収載することになったためです。スペシャルでの発行を楽しみにしていた方には申し訳ありませんが、よりパワーアップしたものにしていきますので、ご理解よろしくお願いします。

昨日3月11日は東日本大震災の発生した日。4年前、私は丸ビルの会議室でインドの方と打ち合わせをしていました。我々ですら経験したことのない大地震に対し、過去に地震をほとんど経験したことがない外国の方が感じる恐怖は計りしれません。少しでも落ち着いてもらうために、状況を必死に英語で伝えたのを覚えています。携帯電話のパケット通信はつながったため、なんとかご家族に安否を伝えられて、ほっとしていたようでした。今回のスペシャルは、海外から大勢の方を迎えるイベントですので、どのように防災上のコミュニケーションを取っていくのか、改めて再確認する必要性を感じた一日でした。

※ 震災直後には仕事で海外に行く機会があったのですが、海外では多くの人から東京の状況を聞かれました。そのとき「計画停電」を英語で何というのか戸惑った記憶が……普段使わない単語は、準備しておかないと出てきませんね。

東日本大震災の発生した2011年、東京でも会場の損傷や節電の要請など様々な事情で、多くの同人誌即売会やコスプレイベント等が中止・延期を余儀なくされました。2010年にスペシャルを開催した水戸も、翌年の震災で大きな被害を受け、2日間だけコミケットが即売会会場として復活させたビルを、被災した水戸市の臨時庁舎として使うという話も一時あったようです(諸事情により中止になったようですが)。

※ 前回のスペシャル(コみケッとスペシャル5 in 水戸)は2010年3月21~22日に、水戸市中心部の商店街にある「旧京成百貨店(伊勢甚泉町北ビル)」を即売会会場として開催しました。コスプレ広場は水戸芸術館や三の丸広場、物産展は南町自由広場……というように広いエリアに「面」でイベントを展開し、歩き回ってもらうことで、まちおこしにつなげよう、という仕掛けでした。

震災から4年、まだまだ日本全国が復興の道半ばですが、今回のスペシャルを通じて、日本のOTAKU文化やイベントのことを広く伝え、海外から遊びに来てくれる人が少しでも増え、様々な産業の復興につながるよう、微力ながら貢献できるといいですね。

(事務局長)