「水戸の美味しい食べ物は?」と聞かれると、納豆・梅・さつまいもが思い浮かびます。その中でも、ひとくち頬張れば口の中に力強い甘さが広がる干し芋は根強い人気を誇ります。今回は干し芋作り一筋の幸田商店さんの自信作「ほしいも☆泉ちゃん」の開発秘話を紹介いたします。
—-「ほしいも☆泉ちゃん」開発のきっかけは?
当初社内では開発に批判的意見が多かったんです。そもそもコミケって水戸でやるのだから、ひたちなか市の会社がやってもメリットがないのではないか。作っても採算が取れるかのか。遊び感覚で、お祭り騒ぎだけで終わるんじゃないか。お得意様の反応が悪いのではないか。また、やったとしても若い人は買わないのではないか、など。どうしようか悩みました。また、リスクも少なくありません。
開発担当者は、50歳を越した方なので、この世界を良く知らない保守的なスタンスです。でも、家庭では息子達がゲーム、漫画、カードゲームに興じていたことを思い出し、一緒にやってみると結構面白いかもしれないと考えまして、相談し背中を押された感じで思い切って挑戦を決めました。
—-干し芋の作り方は?
毎年5月から畑に乾燥芋用のさつまいも苗を植え、育った芋を10月に収穫し、加工作業に入ります。作業は洗ったさつまいもを蒸して、熱いうちに竹へらで皮をむきます。その後冷えた芋を薄く切り分け10日ほど天日乾燥すると、おいしい干し芋の完成です。
—-「泉ちゃん」の名前はさつま芋の品種名「泉(いずみ)種」から付けられたものだと思います。その原材料のお芋「泉種」について詳しく教えて下さい。
一般的な品種である玉豊種のさつまいもの欠点は、見た目に美しいアメ色に干しあげることは出来るが、その後時間が経つと黒く変色することです。味はさほど悪くならないですが、色が悪く敬遠されます。そこで変色しない泉13号という品種で栽培しているのですが、収穫率が大変悪いため作付割合は全体の1%程度とごくわずかになってしまいます。
—-プロだから知る「干し芋をより美味しく食べる方法」ってありますか。
そのまま食べるのが一番ですが、ひとあぶり焼いてもいいし、バターと炒めてもいいし、油で揚げて食べてもおいしいですよ。
—-茨城県の産業に貢献した企業を表彰する「いばらぎ産業大賞」に選ばれた件について教えてください。
機能性に優れた干し芋の開発や、干し芋で地域活性化を目指す「ほしいも学校プロジェエクト」などが評価されました。地域経済の活性化に貢献した企業として46件の応募から、茨城県の審査により2009年度の受賞者として農産物加工では初めて幸田商店が選ばれました。
—-「ほしいも☆泉ちゃん」開発で苦労されたことなどや裏話がありましたらぜひ。
既存の干し芋の売り方や見せ方は、あまり冒険せず、ある意味売り手市場であります。消費者も年齢層の高い女性が圧倒的です。昔からのファンが年末に大量消費してくれる感じですね。しかし今回は季節も春で若者が相手。一筋縄ではいきません。キャラも設定しづらい地味な商材なので迷いました。ですので、ここは他力本願になるのですが、作家さんのセンスにお任せしようと、ある意味丸投げさせていただきました。ただ、干し芋が最初に作られ、食べられたのが大正時代という事で、私がタイムスリップして水戸の弘道館裏の梅園に行ったら、こんな感じの娘さんが居たろうな~~と思い、画風のイメージは設定しました。
—-泉ちゃんのイラストとキャラクターについての感想を。
全体の色が淡いピンクで春らしく、大昔のセピア色の写真を見るようであり、またそこがリアルで引きこまれます。もちろん泉ちゃんは可愛らしく一目惚れです。ほんと癒されますね。家にも娘がいますが、娘が一人増え、次女が出来たみたいで嬉しいです。
—-最後にコみケッとスペシャルの参加者に一言お願いします。
家の箱入り娘に手を出すなーーー!っていう感じで世に出したくありません。マジに(笑)どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
—-ありがとうございました。